厚労省「過労死ラインを月65時間」の見直しが無意味な件を考える

2019年11月1日の記者会見で、厚生労働相は過労死の労災認定の基準の見直しを発表。
来年度に有識者会議を設置する方針を明らかにした。
今回はこの件について考えていく。

状況の確認

状況の確認として、読売新聞の記事を抜粋する。
加藤厚生労働相は、1日の閣議後記者会見で、過労死の労災認定の基準見直しに向け、来年度に有識者検討会を設置する方針を明らかにした。
現在は、脳や心臓の疾患による過労死として労災認定する「過労死ライン」を、残業時間が「1か月で100時間」「2~6か月平均で80時間」としている。
しかし、こうした基準は2001年から変わっておらず、過労死問題に取り組む弁護士が「過労死ラインを月65時間に見直すべきだ」と要望していた。

 

考察

最初に結論を書きます。これを行っても何も変わらないでしょう。
変わるのは裁判時の基準だけとなるのは目に見えている。

 

そもそもの話ですが「残業時間」とは何でしょうか?
ここで厚生労働省のホームページより、法定労働時間のコメントを抜粋します。

・使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
・使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
・使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

 

もうこれだけで矛盾の塊ですよね。
1日に8時間以上働かせてはいけないと書きながら、残業時間の定義をしている。
週休1日を最低としながら、ほとんどの企業は週休2日を採用している。

もう一度問います。残業時間とは何を基準にしてるのでしょうか?
1週間40時間を超える分を基準にしてるのでしょうか?
企業の出勤時間を超える分を基準にしてるのでしょうか?

 

多くの場合、企業の出勤時間を基準に考えていることでしょう。
その場合、次はどうなるだろうか?

週休2日の企業で残業70時間。
週休1日の企業で残業50時間。

どちらの方が月の勤務時間は長いでしょうか?
当然、週休1日の企業の方が勤務時間は長い。しかし法令的に違反なのは週休2日の企業の方。
この矛盾は解消できるのだろうか?

 

また数字だけを変えても、企業内の数字を変えるだけの結果になる。
そもそも現状の数字自体も守れてるのだろうか?
数字を変えるより、現行の数字を守らせるほうが先である。

 

残業時間を制限することで、さらに企業は残業時間を減らそうとするだろう。
残念ながら残業分も給料に組み込んでいる人もいる。
それがいいかは分からないが、その人達の反発は招くだろう。

 

またこの数字は会社員限定である。経営者及び自営業は関係ない。
このギャップがあることを理解しないと、法として片手落ちになる。

 

社会として労働時間が減れば、人が人らしく生きれると考えている。
しかし本当にそうだろうか?
現実として現代は50年前よりも労働時間は減っている。人は人らしく生きているか?

 

個人的な意見として、数字的な労働時間が減っても何も変わらない。
社会や企業が効率的になることによって、自然に労働時間を減らさないといけない。

「変えなければいけないのはシステムであり、労働時間は結果に過ぎない」

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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